事業仕分けの話を受けて

今こそ合理的な基礎研究体制への転換を:社会への説明責任を果たし、理解が得られるその日まで頑張れるようにするために

上記のブログを読んでいて思ったこと。

たぶん、斜陽期に入っている先進国日本にとって、基礎研究への投資は、効果が
見えにくい分、どんなに改善案を出しても抵抗されるものだと思う
究極的な事を言えば、産業界に輩出する人材への教育ができる程度の量だけの基
礎研究者が残っていれば、それで国家としてはいいわけなんだと思う。
それは、本人の能力とは関係なく、世代的にポストが詰まっているといった不運
な人がいたとしても、そのポストが空いたその時点でポストが埋まりさえすれ
ば、国家としてはいたくもかゆくもない。
とすれば、現時点で定職のポストがない人たち全員への支援なんて必要ないと
考える。
ポストを持っていない時点で、国家が行う基礎研究には不要な人材ということに
なるのだろう。


そうやって、裾野を狭くすることは、長期的な国力の衰退につながるのだろうけれども、
今は明日の借金の資金繰りに精一杯だから、明日の借金を返すために基礎研究が
何をできるの?という議論に終始するはず。
そして、その答えは基礎研究側には出せない。だって、基礎研究って、極めて個人的な興味と関心に基づき、明日の飯の話をするものではないんだから。そういうものだもの。


だとすると、今、日本にいるポスドクの皆さんはむしろ日本に見切りをつけて、
それこそ集団で、BRICS等へ移民することを考えた方がいいのではないだろうか?
そうやって、オンリー日本の基礎研究があるならば、その火種をきちんと疎開させる必要があるのではないか。
でないと、全世界的の基礎研究のパフォーマンスが落ちるのではないか。

>>高コスト体質を根本的に改め、低コストで合理的な体制に転換して、社会への
>>説明責任を果たして社会からの理解を得られる日まで何とか生き延びて頑張れ
>>るような「持続発展可能な基礎研究体制」を打ち立てるべきである、


絶対に理解されないと思う。
今日は100万円の予算付けたけど、明日は10万円にするからどうにかして、という問いが基礎研究側に突きつけられているのであり、
低コスト体質にしてパフォーマンスをあげて、100万円分で200万円分
の効果を出すから、100万円のままにして、っていうのは通用しないと思うのだ。。


むしろ、これだけコストを削減できるから、事業費は今よりも削っていいけど、
人件費は今のままで、という戦略を、数字を出して説明しないと無理だと思う。



だが、そもそも論として、「基礎研究」にはいくらかかるのだろうか。
常に、「今」より削減するのは、危ない!!という議論しかない。
30年前に比べたら、研究者ポストも増えているだろう(正確な数字はわからないが、大学が増えているわけだから)。



私が学んだ歴史学の分野だと、もし人件費別の事業費だけで1千万円もついたら、ものすごい話で、立派な史料集と論文集ができるだろう。
例えば、ある地方の旧家所蔵の1万点単位の史料の整理とその研究といったものすごい地味な研究が飛躍的に進展するだろう。
だが、一方で、本当に最先端の実験物理なんてしている人や、医療研究なんてしている人にとっては、1千万円なんて、機器をポンと買って終わりかもしれない。


それらの分野も全く違う「基礎研究」に貴賎をつけれるのだろうか。
そして、日本の国量に見合う「基礎研究」のボリュームとはどの程度なのか。
各分野に必要な人数と予算って?
そもそも、最低限のレベルってなんだ?PCと机があればいいのか?
だれもわからないだろう。
「研究」だけに限るなら、大学を廃止して、超大型研究所に1万人ぐらい研究者をぶちこめば一番効率よく進むのではないか?googleみたいにさ。


今、必要なのは、国家的な閉塞感を打破という課題に対して、各分野・職種の人たちが何ができるのかという事を考えることだ。
それは、政治家や官僚だけでなく、研究者も市民も一緒に考えなくてはならない事だ。


だが、基礎研究者達は、そういう社会的課題には答えないだろう。
あくまで、個人の興味関心が社会的課題とリンクした場合のみ力を発揮するだろう。
そして、社会的課題ばっか解決する人たちだけが研究者になったら、それこそ歪んでいる世界だ。


だとするのならば、基礎研究者達が自分たちの保護を言うには、やはり総量の数字のみをあげるしかない。それはきっと生活保護に近いものだ。
基礎研究者らしい研究者に、教科書と他国が行う最先端研究を解説できる程度の研究と自己研鑽を行わせる程度の予算額をはじきださないと、そこからでないとおそらく説得ある説明はできない。
そして、それ以上の投資ならば何ができるのかを説明するのだ。


YES・NOだけではない。その間の過程の濃淡こそが重要だ。


研究のおもしろさを伝えたって、意味はない。単なる科学好きが増えるだけだ。
2chでハヤブサが盛り上がったが、彼らが大学に寄附してくれただろうか?
伝えるだけでなく、回収するプロセスも含めて、プレゼンテーションしないといけないのだ。


そう、基礎研究者は中小企業の社長なのだから、ちゃんと銀行に対し再建策を伝えるべきなのだ。
伝えれない中小企業は、世の中が悪いといいながら、恨み節でつぶれるしかないだろう。